大正9年創業のはんこ屋入江明正堂。実印・銀行印・認印の書体の選び方について解説します
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印鑑の書体の選び方にお困りの方へ
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印鑑の書体の選び方
株式会社入江明正堂です。今回は印鑑の書体の選び方について解説します。店によってお勧めする書体が違い、困惑した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。大別するとおそらく、印相体(吉相体)もしくは篆書体、また印鑑の種類によっては古印体、隷書体も挙げられる場合もあるかもしれません。まずはそれぞれの書体について解説しましょう。
実印と銀行印にお勧めの書体
実印・銀行印にお勧めの書体は篆書体
です。基本的に実印や銀行印は読める書体を選ぶ必要がないため、一見解りづらいこの篆書体が広く使われています。この篆書体は、代表的な例でいえばお札に押されているハンコです。その他志賀島で出土された金印「漢委奴国王」も篆書体で作られています。
認印にお勧めの書体
認印にお勧めの書体は行書体・古印体・隷書体
です。数ある書体の中でも比較的読みやすく、かつ手書きの風合いを楽しめるこれらの書体がお勧めです。もしくは、日常的によく使われる楷書体でもよろしいかと思います。なお、印刷物などでよく使われる
明朝体やゴシック体は、印鑑では使われません
。ハンコは書道・篆刻(てんこく)などの芸の側面も持つため、一般的にはそれらで用いられる書体を使用します。
それでは各書体の歴史や詳細についてご案内しましょう。
篆書体(てんしょたい)
篆書の歴史は秦(しん)の時代まで遡ります。始皇帝が中国統一を成し遂げた際に文字の整理が行われ、その際に小篆(しょうてん)が採用されました。これが篆書体の起源と呼ばれます。その後、印章用に小篆の曲線的な特徴を抑え、直線的にした印篆(いんてん)が生まれます。印章に使用する篆書体はこの印篆を指すことが多いです。現在でも篆書体は広く使われており、日本銀行発行の紙幣に押されている印鑑や、国や公的機関が使用する印鑑などが挙げられるため、当店でも個人・法人問わずこの篆書体をお勧めしております。
枠を細く、文字を太くすると細ワ中篆書。反対に枠を太く、文字を細くすると中ワ細篆書となります。どちらも同じ篆書体で、お客様のお好みに合わせて作成します。
隷書体(れいしょたい)
秦の時代に統一された篆書体をより実用的に改良した書体です。漢(かん)の時代に発達した書体で、篆書体の次に古い書体となります。他の書体に比べ横に長く、線にうねりや独特のはらいが書かれるのが特徴で、篆書体と同様、現在でも紙幣に書かれる文字や新聞、その他様々な商品・会社のロゴデザインに使われております。篆書体より読みやすさを求める方には、隷書体がお勧めです。
古印体(こいんたい)
日本で古くから使用される印章用の書体。隷書体に比べ丸みがあり、筆書きのような擦れや欠け、墨だまりが特徴です。また文字が枠に接するように構成されるため、文字を大きく、読みやすく見せたいという方には最適な書体です。
行書体(ぎょうしょたい)
日常生活において馴染みの深い楷書体を崩した書体。とめ、はね、はらいがハッキリ書かれるため、流麗かつ力強い印象を与え、また古印体と異なり枠に接しない、他の書体に比べると小さめの文字が特徴的です。年賀状や挨拶状、会社名や商品ロゴなど、現在でも幅広く使われるほか、書道においては一般的な書体の一つでなので、ご存知の方も多いかもしれません。
草書体(そうしょたい)
行書体を更に簡略化したような筆記書体。楷書体や行書体に比べ崩れが大きく、相応の知識が無ければ書くのはもちろん、読むのも難しいでしょう。文字がハッキリ分かりやすい書体をお探しの方には不向きですが、個性的なハンコをお求めの方にはお勧めできる、流れるような優美なデザインを持つ書体です。
開運を目的とした書体について
その他の書体としては、
印相体(吉相体)
が挙げられます(「いんそうたい」、「きっそうたい」と読みます)。印相体は篆書体を基に近年作成された書体で、主に開運・縁起の良さを目的としており、文字の大きな崩し(線を足す・減らすなど)や、枠いっぱいに文字が接する構成により、非常に読みづらいことが特徴です。
ハッキリ申し上げますが、お勧めしません。
少々余談になりますが、石や木に文字を刻む篆刻(てんこく)・刻字(こくじ)という芸術があります。書や水墨画などの作品にサイン代わりに捺印する落款(らっかん)や、和菓子屋さんなどで店の名前が彫刻された木の看板を見かけたことがあると思います。ああいったものを商品ではなく作品として作る、それが篆刻や刻字と言われる芸術で、はんこ屋さんの職人はそのような作品の製作も行っており、多少気取っていえば芸術家の側面もあるのです。そういった
篆刻や刻字はもちろん、書道の世界でも吉相体や印相体といった文字は一切使われない、というより開運の概念がない
ので、当店ではこれらの書体は文字ではなくデザインという認識を持っています。
印鑑に運気向上を求めるのはお客様次第ですが、本来の書道や篆刻、刻字では使われない、あくまで商売上のデザインです。デザインとして好まれるなら宜しいですが、当店としてはどこで使っても恥ずかしくない、一生涯ご愛用頂ける印章の製作を信条としておりますので、印相体・吉相体をお受けいたしません。
印鑑の役割に応じて書体を選びましょう
実印・銀行印は読みやすさより防犯を、認印は名前の読みやすさを重視しましょう。もちろんお好みに応じたものを作るのが一番なので、ご要望があれば直接はんこ屋に相談しましょう。
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